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[註] この文章は「私のけん玉活動」の題でネット上の「けん玉メールマガジン」の
22号/7月と23号/9月に寄稿掲載されたものをまとめて再編集したものです。
一部修正され、新たに写真が挿入されています。(2015.09.07掲載)


けん玉を始めたのは66歳の時だった

― 生涯の特技にしたい関わり方 ―

  目次のクリックで移動します

1.けん玉を始める

2.ボランティア活動に参加

3.シニアの’健康けん玉’

4.けん玉教室で情報を得る

5.目標または夢のけん玉パフォーマンス

6.終わりに(・勲章をもらった人 ・対称形けん玉)



  1.けん玉を始める
 私は茨城県取手市に住み、今75歳。2006年66歳の時、地元の図書館で同年の知人松岡

氏に声を掛けられ、彼が数日前にけん玉講習会の検定で2級に合格したと知らされた。 その

3年前から小学生相手のイベント活動をしていた私は直感的にけん玉の検定資格は活用でき

ると思い、彼の話に乗った。私のけん玉との関わりはここから始まったと言っていい。その年

10月に彼を指導者に立てて、けん玉イベントを行うことにし、地元教育委員会に提出したボラ

ンティア活動の予定表にけん玉を加えた。それまでけん玉の話が出たことはなかったし、周り

にけん玉ができる人もいなかった。

 松岡氏は以前から小学校の総合学習の時間に昔遊びを見せたり、教えたりしていたらしい。

失礼な言い方かも知れないが、彼は茶目っけで子どもに好かれる処があり、例を挙げれば、

古い50円玉または5円玉の穴にあやとりのひもを通して両手をひろげ、中央にぶら下げた硬

貨を一瞬にしてひもから抜け落とす手品のような芸ができ、それをけん玉イベントの休憩時間

に子どもたちに見せて喜ばれていた。やり方を訊かれても、自分で考えてごらん、と種を明か

さないから、繰り返し何度もやっていた。

 イベントを計画した時の私はけん玉は全然できなかった。家族に計画のことを話したら、20

年前に家族4人分のけん玉を買った事があると言われた。私には記憶がない。当時46歳で

会社人間だったから 興味を持たなかったらしい。物入れを調べてみると今の公認型とは違う

木地の玉のけん玉4個が出てきた。小6だった長女の5級認定証もあり、発行者はトータス認

定委員会とあった。どうやらけん玉に触れたことはあったらしい。そんな中、けん玉イベントに

向けて練習をしているうちにその奥深さにハマっていった。図書館で新間英雄氏のけん玉本

を読み、インターネットで購入した「ひと目でわかるけん玉リーダー読本/藤原一生・著」を何度

も読み返し、ネットで動画も見て練習に励んだ。 結果、もしかめが200回以上できるようにな

り、技の定義とか練習要領も説明できるようになって、けん玉イベントをアシスト役で無事終え

ることができた。 けん玉との関わりは益々深まり、今に至っている。


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  2.ボランティア活動に参加
 2003年、学校週5日制の実施に伴い、小学生の土曜居場所作りの目的で教育委員会がボ

ランティア活動「こどもふれいあいひろば」を立ち上げた。公民館を拠点に地域の有志10名と

一緒に実行委員になり、実施を担っていたが、3年目の2006年に私の提案でイベントにけん

玉が加わった。指導者はけん玉道2級の松岡氏。イベントの準備は私が行なった。使用する

けん玉は、子ども用4ダースを公費で購入した。私は日本けん玉協会の公認けん玉も買い、

子ども用と両方で練習した。子どもたちに意欲を持たせるために私製の認定証も用意した。

学校で配布するチラシをパソコンで作成し、「けん玉であそぼ!」の題字とけん玉の写真を

入れた。初イベントの参加者は児童12名、大人10名だった。この年

のけん玉イベントは1回だけだったが、その後は回数が増えて7年目

には年間5回になっていた。

 3年目からは保育園で覚えたという‘もしかめ‘の上手な女児も参加

するようになり、公認のマイけん玉も持ち込まれ始めた。私は練習成

果あって2008年に1級に合格し、2010年に準初段になっていよい

よ熱が入り、公認けん玉を自費で用意して貸し出し用にした。ここに来

て、それらしいけん玉教室に近づいたのだった。‘もしかめ’はけん玉

の目玉として、その指導に力を入れた。 その日の練習の締めくくりに

は音楽に合わせて全員でもしかめをした(できない子には大皿ジャン

プ)。曲は兎と亀の他に、リズムの合う童謡や人気曲(おどれポンポ

コリンなど)を使った。

 2012年度末を以って、実行委員の高齢化の理由で

「ふれあいひろば」が中止されることになった。その年

度内に、私は念願だった初段と2級指導員の資格をと

り、子どもたちに日本けん玉協会の公認級位認定証を

手渡すことができた。この幸運は天からのご褒美だと

思った。認定証と言えば強く記憶に残っていることがあ

る。けん玉が初めての1年女児が同年生の上達振りを

見て自分の遅れに涙し、大皿もできないまま帰っていっ

た。その子が翌年マイけん玉を持って参加し、中皿ま

でできるようになっていた。その後も毎年参加して6年

生になり、卒業前に4級に合格して認定証が手渡された時、私に特段の笑顔を見せてくれた。

中学に行ったら勉強に集中し、大人になって機会あったら、また、けん玉をやるといい、これ

まで卒業して行った子どもたちに贈った同じ言葉をこの子にも贈ったのだった。


 「ふれあいひろば」の中止後もけん玉を続けたい声があって、翌年か

ら公民館内で新たなけん玉教室を開くことにした。ただし、やり方を変

えた。開催は夏休み期間中の毎木曜日午後にし、8月下旬の練習日

には認定会を行うことにした。時間は午後1:15〜16:00で、参加者

はこの時間内で自由に来室、退室できることにした。子ども好きの女

性が責任者になり、私が指導を担った。近くの児童クラブ(学童保育)

からのグループ参加もあって、毎回30〜40名の参加者があった。

去年は小1の時からずっと参加してきた小4の女児が1級に合格する

喜ばしいこともあった。この活動は当分続くだろうと思っている。



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  3.シニアの’健康けん玉’ 
 2007年11月、都内であった「NTTデーターけん玉

大会」を松岡氏と一緒に勉強目的で見学してきた。そし

て翌年1月、練習の場所探しと仲間作りを画策していた

処、前年に開設したばかりの「げんきサロン藤代」という

60歳以上のシニア向けの公共施設を見つけた。けん

玉でも利用登録でき、第1、第3金曜日が空いていると

いうので、早速二人が代表になってけん玉サークルを

作ることにした。2級の松岡氏が指導役、ビギナーの私

が雑務係だった。初めての活動日には計19名が集ま

った(男性4名と少なかったのは意外だった)。私の案

で作られたサロンのプログラムは次のようになってお

り、現在も変わっていない。


13:30〜50  ・準備運動(もしかめ)

・自由練習
10分休憩

14:00〜20  ・課題の練習(基本10技)

10分休憩

14:30〜50  ・リズムけん玉

・もしかめで締め(CD音楽2曲使用)

20分交流時間(お茶とおしゃべり後散会)
 
リズムけん玉について説明します。リズムに乗せること

のできる技、もしかめ、かじやなどをそう呼ぶことにし

た。使用できる2拍子の曲は童謡、歌謡曲など多数あ

り、ナツメロが始まると懐かしさで話題になる(これを楽

しみにしてくる人もいる)。100曲以上をCDにまとめ、

毎回曲を変える。 もしかめは歩きながらできるので、

「三百六十五歩のマーチ」には腕振りなど振り付けをし

た。2年前からはダンス・ステップを踏むことも始めた。

ステップはインターネットで見た‘けん玉ダンス’をシニ

ア向けに少し変えて、基本型とそのバリエーション(身

体の向きの回転を入れるなど)をいくつか作った。つい

でに言うと、昨年6月に生放送されたNHKテレビ番組

「けん玉で健康ライフを!」の中で、私も出演して東京

のシニアけん玉教室の仲間と一緒に踏んだダンス・ス

テップは基本型だった。この放送には、けん玉協会

の「けん玉通信」で紹介されたことのある93歳の木村さ

んも出演していて、ハーモニカで「兎と亀」を演奏しなが

らもしかめを演技して見せました。 ハーモニカ、ダン

ス・ステップ、そんな特技があればTV出演もあるんです

ね(運がよければ)。


 サロンのメンバーと一緒にサロン外のけん玉活動もやります。2年前から隣町の市民活動フ

ェアでけん玉の体験コーナーをメンバー数人で担当している。そこで級位の認定も行っており、

これまで計25人に認定証を発行した。 また、地域の保育所に混成7名で訪問して、簡単な

パフォーマンスと指導を行なったこともある。

 ところで、昨年来、活動のキーワードを‘シニア、健康、けん玉’とし、サロンの活動名を’けん

玉’から’健康けん玉’に変えた。 現在のサロンの常連は20名弱です(60歳〜88歳、男女

半々、男性が増えたのはうれしい)。


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  4.けん玉教室で情報を得る
 けん玉を始めて3年目に‘灯台’を成功させたこともあっ

て、段位を目指せる自信のようなものができた。そして、

有段者の指導を受けてみたい気持ちになり、都内秋葉

原のシニアけん玉教室に参加した。初日に成り行きで受

けた検定で2級に合格した(68歳)。この教室は2ヶ月に

1回開かれるもので、この回数ではもの足りないと感じ、

同時期に月2回千葉県柏市のけん玉教室にも通い始め

た。ここでの2年間に準初段まで上がった。初段に合格し

たのは更に2年後の2012年で、この時はシニアけん玉

教室だった(72歳)。現在は両教室とも参加していない。

一方、5年前に通い始めた千葉県鎌ヶ谷市のけん玉道

場(月1回)は、雰囲気が気に入って今も通っている。

 けん玉の上達の原動力は、常に方法の適否をチェック

しながら行なう練習量だと思っており、私の場合は自宅

がその場になっている。けん玉の原理は単純だから、

言葉を尽くして教わることも教えることも多くない。私に

とって、けん玉教室へ通う理由の第一は、指導者や熟達

者の演技を見たり、経験談を聞いたりして上達のヒントを

得る、つまり情報を得ることである(他はけん玉界の情報

や認定試験など)。この理由付けは当分変わりそうにない。



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  5.目標または夢のけん玉パフォーマンス

 けん玉教室で有段者に何度も聞いてみたが、けん玉練習器具と

いうものはないらしい。それではと、使い古したけん玉を利用して

いろいろ自分で作ったみた。 自信作は玉穴を見る訓練をするもの

で、玉にハンドルを付けてくるくる回せるようにした。地球まわしの

ようにまわる穴を追う目を作るのに有効だと思う(「玉回転器」と名

付けた)。もう一つはけんにハンドルを付けて、けんを縦回転させ

るもので、はねけんのように、動くけん先を追う目を作るのに有効

だと思う(「けん回転器」と付けた)。これらの練習器具を併用して

地球まわしだけの繰返し技(仮名「玉まわし」)と、はねけんだけの

繰返し技(仮名「けんまわし」)をマスターしたいと思っている。


 初段になった時、次にやることは、普通、昇段のための練習で

あろう。ところが、私は違うことを考えた。難度の高い技への挑戦

は止めにして、初段レベル以下の技に集中することにした。理由

は上達の年齢的限界。その時の私(72歳)の感じでは5、6年しか

残っていない。その限界が来る前に、私なりのけん玉パフォーマ

ンスができるようになりたいと思った。その中身は玉まわし、けん

まわし、そして一周系の繰返し技で、見栄えもよく、繰返し回数を

増やせば時間稼ぎもできる。技の繰返し回数に関して、ネットで

見つけた関西の某6段さんの、練習中に記録した連続成功回数を

次に示す。


   地球まわし123、地球まわし連続64、 世界一周連続37、

   ヨーロッパ一周連続14、
宇宙一周61、宇宙一周連続25、

   はねけん137、はねけん連続34


ここで連続の語のあるものは、繰返し技だと思われ、その数字の多さから自分にも可能性があ

ると感じた。繰返し技なら連続10回以上。初段の技なら成功率50%以上。それにリズムけん

玉を加えれば、近隣の人たちに見てもらえる位の内容にはなるだろうと思った。さてどうなるだ

ろうか。


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  6.終わりに

・けん玉で勲章をもらった人

 けん玉を始めたばかりの2006年4月の新聞に春の

褒章受章者の記事が出ていて、社会奉仕活動をした人

に贈られる緑綬褒章に 茨城県水戸市の清水勇吉さん

(85歳)が選ばれたとあった。見出しには「けん玉、子ら

に教えて13年」とあり、仕事から引退した72歳からけん

玉でボラティ活動を始め、日本けん玉協会水戸支部長

を務めながら月2回子どもたちに教えているとあった。

85歳になってもやれると 教えてくれたこの記事が、

65歳の私を奮い立たせ、けん玉を生涯の友にする決心

をさせた。それから7年後JKA会員になった時に購入した

「日本けん玉協会30年史」(2005年発行)に掲載されている記事「私の生きがい」の投稿者、

清水勇吉名誉5段が、上述の褒章の人と知り、尊敬の念と懐かしさが湧きあがった。94歳で

今も達者でおられるだろうか。

 ・対称形けん玉

 最近輸入けん玉が出てきて、その影響からか、国内産

に変化・進化が見られる。 パフォーマンスのけん玉は

公式大会でも自由に選ぶことができ、いろんな工夫が加

えられている。 私の手持ちの中に試験的に作った左右

対称形のものがある。2個の公認けん玉を分解加工し

て、左右とも大皿または小皿にしたもの。左利き、右利き

の区別がなくなり、また、灯台や灯立のようなバランス技

がやり易くなることも考えられる。形のシンプルさもよい

と思う。なぜ、この形のけん玉がつくられなかったのか、

今も作られないのか、不思議な気がした。私の実験は

続くので、2個目、3個目をどこかのメーカーさんが作ってくれたらよいのだがと願っている。

 ・ホームページ‘タカラカン’

下記URLに 「左右対称型のけん玉」、「けん玉練習機」、「リズムけん玉」、「家族のけん玉」、

「緑綬褒章の記事」の説明があります。どうぞアクセスしてご覧ください。

URL : タカラカン/けん玉・あれこれ   


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